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Dear Prudence/The Beatles

68年作。いろんな意味でサージェント・ペパー以上に衝撃的だったアルバム「ザ・ビートルズ(通称ホワイト・アルバム)」収録曲。解散後のインタビューでジョンの曲である事が明らかになっている。インドで書いた曲。ギターの多重録音が印象に残る曲だが、特筆ものはポールの活躍ぶりである。ドラムを叩いているのも実はポール。リンゴはポールとの音楽上の軋轢から、レコーディングの一時期バンドを脱退していた事が後に露見した。ベースの非常に凝っている曲である。このかっちりまとまったベースラインは、ポールがベーシストとしてただならぬ才能を持っている事の表れである。ヴォーカル・ハーモニー等にサイケデリックの要素が感じられる。

プルーデンスとは女優ミア・ファローの妹の名。ビートルズがインドへ渡っていたこの時期、姉のミアと共にインド各地を放浪していた。途上四人に逢い、宗教家マハリシ・マヘシ・ヨギの教えを受ける事になるが、瞑想しすぎて精神状態がおかしくなり、小屋から出られなくなったと言う。ジョンが言うには精神科に入院してもおかしくない状態だったというから、宥めるのに骨が折れたと見える。説得にあたったのはジョンとジョージ。

録音は8月末。プロデュースにジョージ・マーティンが携わっていない可能性がある。当時彼はバカンスに出かけていて不在だったからだ。エンジニアのクリス・トーマスとポールが代わって陣頭指揮を執ったが、ポールのワンマンぶりは目に余り、メンバーの反感を買ったであろう事が容易に想像される。それでもプロ意識の高い彼らである。天下のビートルズなのだ。恥ずかしい作品は出せない。精神的重圧は尋常ではなかったろう。露見せぬように薬物をやり、トリップした状態で録音に臨んだ。そうでもしなければまともに録音作業が出来なかったからであろう。