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大空と大地の中で-4-

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他者の神経を逆撫でる能力を持って産まれたペケさんとの地獄の蜜月を、書いていこうと思います。

ただただ空だけが青く

空気の澄んだ

遙かな大地。

雄大な山々が望める

景色だけがべらぼうに素晴らしい

何もないところで

駄目なオジサンと何日も2人きり。

ペケ「ねぇねぇ、さいわい村さん

ラーメン食いたくないっすか?

あ〜、ラーメン食べたいな、ラーメン食べたい気分だな〜

…食堂のおばちゃん恵んでくれないかな」

食堂の厨房を背伸びして覗き見る中年。

いや、初老。

めぐみ「ちょ…やめてくださいペケさん、向こうからもこっち見えますよ多分」

ペ「いいんですよ、覗いてるって解ったらお情けでラーメンくれるかも知れないし!」

め「…野良犬ですか

恥ずかしいんでやめて貰えますか」

ぺ「あっ!ひどい!

野良犬ってひどい!

自分、乞食ですよ!?

ハッハッ、エサくれワン!」

め「キモッ。」

ぺ「酷いですよさいわい村さん〜デヘへへ

うち、犬飼ってるんで、自分、犬の真似上手いっすよ

チンチン!チンチン!

ワン!ワン!」

め「…………」

ぺ「ちんちん!

ちん…ちんぽっ!

ちんちん!ちんちんっ!

…あっ、ちょっと、かまって下さいよさいわい村さん〜

無視しないでくださいよぉ〜ねぇ〜」

め「うるっせぇ

マジでうるせぇ

黙って下さい。

死ぬまで黙ってて下さい」

ぺ「酷い〜ッ!!

さいわい村さんはホントに酷いなぁっ

デヘへへッ」

私が暴言を吐くほど

このオジサンは喜びました。

重度の学歴コンプレックスがあり

ぺ「自分、大卒とか言われちゃうと頭上がらないんですよ〜

年下でも、ペコペコしてしまう!」

とは言っていましたが

この人は関係なく、誰にでもペコペコしていましたし

誰にでもヘラヘラしていました。

もはや全人類の子分なんだと思います。

ちなみにこの日、仕事終わりにラーメン屋に行きましたが、そこで

ぺ「自分、滅茶苦茶辛いものが好きなんすよ〜

こう、カッと熱くなるような〜」

と、辛味噌ラーメンを注文し

備え付けの胡椒と一味をどばどばふりかけた挙げ句に

ぺ「あ〜からいっ!

こんなからいもの食べられないですよ!

金払ったから食いますけどね!

金だと思って食います!

これは金だっ!金だ金だっ!」

汗だくで文句言いながら食ってるんですから

何ですかこいつは。

そんな乞食のペケさんがよく好んで食っている弁当がありました。

その町に一件だけあるスーパーで売られている

200円弁当です。

ちょうど仕事が終わった頃に行くと、2割引の札がついていて

200円弁当は160円で売られていました。

ペケさんがあまりにおすすめしてくるので私も一度食べたことがありますが

…まあ…美味くはない…というか…残った惣菜を詰め込んだのだな…古い油の味と、上げ底のパックだな…別に食えないほどマズいわけではないけど…。という感想です。

それをペケさんは

ぺ「有り難いですよ〜

160円で、米も梅干しも魚フライもたくあんもポテサラも入ってるんだから〜」

ムシャムシャ食うのです。

しかし私は知っていました。

C君がその弁当について

C「あの弁当なら猫の餌の方がマシだ」

と言っているのを。

C「160円でも高すぎるくらいだ

アレだったら100円のパンとか、コンビニの100円パスタ買った方が絶対美味いし安い

あの弁当を作ってる人には悪いけど、あんなの買うのホームレスだけだ!」

そう言われているとは知らず、ペケさんは

ぺ「自分、乞食ですから!」

160円弁当を2個も買い

ぺ「今日は食いたい気分なんで奮発しちゃいますよ!」

そんな日もあります。

私は何も言えません。

しかもこのオジサン

2個目の途中で

ペ「…なんか気持ち悪くなってきました

やっぱり2つも食べるもんじゃないですね

ろくでもない弁当ですよこれ

古い惣菜使って。

やっぱ安い弁当はマズいですね

乞食弁当ですよ」

何ですかこいつは。

翌日にもまた買ってるし。

車を持っているペケさんに、晩飯を食いに連れて行って貰うこともありました。

ある日、蕎麦屋に入った時のことです。

店構えや食器もこだわっている

なかなか通な蕎麦屋でした。

差し向かいで蕎麦を食っていると、不意に言うのです。

ペ「………考えてみたら、すんごい経験ですよね、こんな若い子と2人きりで晩飯なんて。

こんなオヤジが。

普通なら金払ってすることですよ

金払っても出来ないですよ」

真顔で。

め「ハァァァ!?

ほんっとペケさん、キモチ悪りぃ!

余計なこと言わなきゃいいのに!

黙って食って下さい」

ぺ「いや、ほんとに!

真面目にですよ!」

め「真面目に言ってるからきめぇっつってんの!」

この、他人を苛つかせる特技

なにか別で生かして欲しいものです。

更にこんなこともありました。

広野荘では寒くなると

一部屋に一つずつ灯油ストーブが割り当てられます。

廊下の端に灯油タンクが置いてあって

セルフサービスで灯油を補充するスタイルでした。

ある日私が、廊下で1人、灯油を汲んでいると

間の悪いことにペケさんが部屋から出てきたのです。

私はその時、仕事終わりで疲れていて

ジャージに着替えをする前に灯油を汲んでいました。

床にしゃがみ込むと、ちょっとタイトなズボンだったため

腰が見えていたと思うんです。

場合によっては多少はケツも出たかも知れません。

部屋から出てきたペケさんは言いました。

ぺ「あっ、さいわい村さん、明日のことなんですけど30分早く…

ケツ見えてますよ」

自分でもケツが見えているかもとは思っていたので

ペケさんの部屋の扉が開いた瞬間に立ち上がって裾を直したのですが

ペケさんはその0.5秒を見逃しませんでした。

め「…お見苦しいものをお見せしてしまって申し訳ありませんでした!!!

それでなんですか!!!

明日30分早く出発ですか!!!!!」

ぺ「そうです、ちょっと早めに。

…あ〜、ケツ見えたな〜」

こいつをブン殴らなかった私は偉いと思います。

たとえケツが見えてても

普通はわざわざ言わないでいてあげるものではないでしょうか。

それも一瞬なら

見なかったことにしてくれるとか。

それを言うのがこのオジサンです。

そして明くる日、いつもより30分早く車に乗った我々でしたが

またもペケさんは唐突に言いました。

ぺ「…いや〜、昨日さいわい村さんのケツ見ちゃったからな〜」

め「あ?

今更なんすか。

私だって忘れてたようなことまたほじくり返して。

気持ち悪りーなペケさんマジで

なんで生きてるんですか」

ぺ「エヘヘへ

さいわい村さん酷い人だなぁ〜

いっつも自分、虐められっぱなしっすよぉ〜

ドSなんだからぁ〜」

ブン殴らなかった私は偉いと思います。

殴れば良かったと今は思います。

これでいて

ろくに仕事も出来ないのですから

彼はどんなに温厚な人でも苛つかせていきました。

事実、近郊での勤務の際

日帰り組とも一緒に仕事をすることがありました。

ペケさんと初めて組んだ日帰り組の方々が

「ペケさんの飼育担当者はさいわい村さん」とばかり

私に逐一訴えてくるのです。

「あの駄目なオジサンなに?」

「ペケさん何の役にも立たない」

「あの人は何が出来るの?」

「数時間しか一緒に居なかったのに凄い疲れた」

「ずっとムカムカしてた」

「よくあんな人と何日も仕事出来たね…めぐたん偉いよ…!」

好かれているとか嫌われているとかのレベルではありません。

兎に角、人を苛つかせる男なのです。

彼の天才的な手腕を持ってして

苛つかない人間はこの世にいないのではないかと思われました。

彼はある時、怒るはずがない、誰の前でも嫌な顔を見せたことのない人物を怒らせます。

つづく